「網切」とは、「画図百鬼夜行」に描かれている妖怪です。
見た目はザリガニやサソリを思わせるような姿をしていますが、頭部は鳥のようにも見えます。
「網切」の伝承
網切は「髪切り」という妖怪をモデルに描かれたという話がありますが、昭和以降の妖怪の文献では干してある漁網や蚊帳をズタズタに切り裂いてしまう妖怪であるとされています。
「網切」の物語
「東北怪談の旅」という書物には山形県庄内地方で語られる妖怪となっています。漁村に現れた網切が漁網をズタボロに切り裂くという被害が続いたため、ある人が漁網を守るために素早く網を片付けて家に隠したそうです。
すると網切は夜にその家に現れ、蚊を避けるために吊るしていた蚊帳を切り裂きました。その結果、網を守った人物は全身を蚊に刺されてしまったと伝えられています。
「網切」の正体
網を切り裂いて人を困らせる妖怪ですが、その正体はかつて漁網にかかって死んでしまったカニやエビが化けて出てきた存在なのではと思います。自分達の命を奪った網があまりにも憎いので網を切り裂いていたのではないでしょうか?