「イシネカプ」とは、北海道のアイヌ民話に伝わる妖怪です。
「イシネカプ」は北東部での呼び方です。様々な動物達が化けた姿と伝えられています。
「イシネカプ」の伝承
動物が化けたイシネカプの中でも有名な「ペンタチコロオヤシ」の正体は性悪なワタリガラスですが、このようにキツネやカワウソ等の動物や植物が化けた物を北東部の人々はイシネカプと呼び、南西部の人々は「イシネレプ」と呼んだそうです。
「イシネカプ」の物語
イシネカプの中でもしっかり話が残っている「ペンタチコロオヤシ」の物語を皆様にご紹介させていただきます。
ある村の村長が樺太の東海岸北部にある村「コタンケシ」に向かっていた時の話です。暗い夜道を進む村長はペンタチコロオヤシに出会ってしまいました。
この妖怪は松明を持っており、その松明の灯りによって夜道は昼間のように明るくなっていました。(ペンタチコロオヤシの名前の由来はアイヌ語で「松明をかざすお化け」)
後にこの話を聞いたコタンケシの村長が化け物が出たという夜道に行くと、ペンタチコロオヤシが村長の背後に現れたのです。村長はすかさず刀で突き刺しましたが、それと同時に気を失ってしまいました。
しばらくして目覚めた村長は村に戻り、その翌朝に村人達が化け物の死骸を探したところ、その正体は性悪なワタリガラスだった事が分かったのでした。
「イシネカプ」の正体
イシネカプは動植物が化けて出た妖怪です。キツネやカワウソ等の動物や植物が化けるのですから、さぞバリエーションも豊かでしょう。
今回はイシネカプの中でも有名なペンタチコロオヤシの物語をご紹介しましたが、イタズラ好きなワタリガラスが村長をビックリさせたかっただけだったのかも知れません。