原作・大場つぐみ、作画・小畑健による「漫画家」という職業を題材にした少年漫画「バクマン。
『週刊少年ジャンプ』にて2008年～2012年の間、連載されていた。
NHK教育テレビで第3シーズンまで放映され、実写映画も佐藤健と神木隆之介が出演し、公開1週間で興行収入2億円を超えるなどかなりの実績を残している。
目次
バクマン。のあらすじ
真城最高は絵を描くことが得意な中学生。
授業中に片思いの女子・亜豆美保の姿を落書きしていたところを、クラスメイトの高木秋人に目撃されてしまう。
最高の絵が気に入った秋人は自分が物語を作るので、最高が絵を描いて一緒に漫画家を目指してほしいと誘われる。
漫画家で戦力外通告され、最後には過労死してしまった叔父の姿を見ていた最高は、夢を追いかける覚悟ができず、その申し出を断った。
しかし片思いの美保が声優を目指しているということを知り、勢いで自分が漫画家になるから、その作品がアニメ化されたらヒロインの声を担当してほしい、その夢が叶ったら結婚して欲しいと告白してしまう。
美保も最高の事が気になっていたため、夢が叶うまでは、お互い会わないと条件を出した上で承諾した。
漫画家を目指すことを決意した最高だったが、秋人と組むかどうかは迷っていた。
しかし秋人と話すうちに彼が作る物語に興味が湧き、2人で亜城木夢叶というペンネームで漫画家を目指すことにした。
1からスタートした2人の漫画家が実在する少年ジャンプでライバルたちに出会い、数々の苦難を迎え、切磋琢磨しながら連載をもぎ取り、夢を叶えていく物語。
バクマン。の名言集
真城 最高の名言
「亜豆さん 僕達のマンガがアニメになって そのヒロインを亜豆さんがやる! その夢が叶ったから結婚してください!!!」
秋人の策略で亜豆の家へ行くことになった最高。
亜豆の夢が声優だと知り、また彼女が声優になれば一般人の自分との差が開いてしまうことに不安を感じた最高が思わず言ってしまった言葉。
この約束を励みに最高は漫画家を目指す。
「その世界をよく知ったり 足を踏み入れると理想と現実が違ってたりして くじけそうになる事があるかもしれない でもそれは皆が通る道で何度も壁に当たってそれでもくじけなかった人が夢を叶えていくんだと思う」
順調に声優への道を進んでいると思われた亜豆だったが、担当していた作品が終了し、一時的に声優の仕事が無くなってしまう。
事務所から声優とは違った仕事を勧められ、夢のために引き受けるかべきか断るべきか悩んでいた。
香耶から亜豆が悩んでいることを聞いた最高は電話でこう励ました。
「おじさんが獲りたかった おじさんが一度も獲れなかった 「週刊少年ジャンプ」の読者アンケート 1位だ」
アンケート1位は漫画家だった叔父・川口たろうの夢であり、亜城木夢叶の目標でもあった。
今度こそ1位を取るために、3度目の新連載、「PCP（完全犯罪党）」を締め切りギリギリまでより面白くするために修正に修正を重ねた。
その結果ダントツの票でとうとうアンケート1位を取る事ができた。その事を編集の服部と秋人、最高の3人でお墓参りに行き、亡き叔父に報告した時のセリフ。
「亜豆美保は実力で役を勝ち取ってくれると信じてます」
ついに亜城木夢叶の作品がアニメ化することになった。しかし最高と亜豆が交際していることがネットで悪いように噂され炎上してしまう。
恋人の描いた漫画のヒロイン役を演じるということが作品にとっても亜豆にとってもマイナスになると捉えられ、ヒロイン役はオーディションで決めることになる。
作品が連載された時から亜豆はヒロイン役を意識して役作りを行っていたことを知っていた最高は亜豆のラジオ番組でリスナーたちにこう宣言した。
「香耶ちゃんがつけてくれた…… “亜城木夢叶”っていうペンネームにずっと励まされてきた ありがとう…………」
最高はREVERSIのアニメ化の放送日・亜豆に会いに行くと約束した。
その前日、亜城木夢叶の名付け親であり、ずっと彼らを応援してきた香耶に手を差し伸べ感謝の気持ちを伝えた。
高木秋人の名言
「俺と組んでマンガ家になってくれ」
授業中にこっそり亜豆の絵をノートに描いていた最高。
そのノートを机に忘れて帰ったために秋人にノートの中身を見られてしまう。
秋人はノートを返す条件としてこう提案した。これが二人のコンビ結成のきっかけになった。
「夢を追って敗れて後悔するなら納得できる。夢を追わなかったことに後悔したくない」
漫画家になるので恋愛は二の次になると伝えた秋人に、岩瀬はそんな事していたら必ず後悔しますと言った。
その時に秋人は愛子にこう返した。夢を追うために懸命に努力しているからこそ言えるセリフなのかもしれない。
「マンガ家って 寿命を削って作品描くものだぜ」
ジャンプで連載を取るために頑張っている2人。
編集者の服部の出した条件は2つ、「金未来杯で結果を出すこと」と「まだ連載が決まっていない漫画を2週間に1本・19ページ書くこと」だった。
高校に通いながらこれらの条件をクリアすることは簡単ではない。毎日ほぼ寝ないで描き続ける2人を香耶が心配するが高木はそう言った。
「互いを励みにして頑張ろう」
中学生の頃、岩瀬愛子にこのセリフで握手を求められた時、秋人は適当に返事をしただけだった。しかし愛子はこの握手を交際の合意だと受け取り、それが誤解だと知った時から一方的に秋人に執着心を持っていた。
大学生になって小説家デビューした愛子だが、それでも秋人の関心を引けないことが悔しくて、とうとうジャンプの漫画原作者になった。
新妻エイジに絵を描いてもらうことになった愛子原作の＋NATURALは読者アンケートで秋人の上に行くようになり、秋人にライバルとして認められるようになった。
その証として今度は秋人から愛子にこのセリフで握手を求め2人は原作者としての実力を争う真のライバルになった。
亜豆 美保の名言
「夢を持って頑張る事 努力している事に凶なんてないと思う」
2人の作品が金未来杯を取った時、美保は最高と漫画家を目指してくれてありがとうと秋人にお礼を言った。
しかし賞を取っただけでまだ夢を実現していないため、秋人はマンガ家を目指したことが吉と出るから凶と出るかわからないと返す。それに対して亜豆はこう答えた。
夢のために努力したことはたとえ叶わなかったとしても無駄にはならないということだろう。
「真城くん頑張ろ 真城くんなら休まず描ける 私は真城くんを信じる 2人の夢を叶えて」
亜城木夢叶の連載は順調だったが最高が肝臓の病気で倒れて入院することになる。
編集者側はしばらく休載させる方針で、秋人も亜豆も休んでもらうよう最高を説得するが、最高は決して折れなかった。
原稿を書いている途中で最高の具合が悪くなりナースコールしようとするが、亜豆は真城が大丈夫だと言うのを信じて描くことを応援した。
最高が心配でたまらないが、最高の望むようにしてあげたいという亜豆の芯の強さが感じられる。
高木 香耶
「マネしていい事といけない事の判断がつくように育てます！」
亜城木夢叶の作品PCP（完全犯罪党）が人気漫画になるにつれてマネをする子供が増えてきた。
また模倣犯がニュースで取り上げられた事で秋人は自分の書く作品に対して責任と迷いを感じてスランプに陥っていた。
秋人は自分の妻でもある香耶に、自分たちに子供がいたとして、その子供がPCPのマネをしたらどう思うか確認する。その時に香耶が秋人に言ったセリフ。
自分の子供が犯してしまう間違えを決して別の物のせいにしてはいけないのだと、親としての責任を考えさせられる言葉だ。香耶には特別な才能や夢はないが内助の功とも言える行動やセリフが多々ある。
新妻 エイジの名言
「もし僕がジャンプで一番人気の作家になったら 僕が嫌いなマンガをひとつ終わらせる権限をください」
ジャンプの編集長と担当者が青森のエイジの家まで行って東京へ上京するよう話をつけに行った時、エイジが上京するにあったって出した条件がこれだった。
編集長はその条件をその場で受け入れず、本当に一番になった時にまだそう思うのならその時に考えようと返事をした。
後にその権限は人気絶頂だった自分の連載漫画を終わらせるために使用された。初めから自分の作品は自分の望む形で終わらせたいと見越してのセリフだったのかもしれない。
「もう１人じゃないそれがものすごく嬉しいです いつもありがとうです」
エイジ作の人気漫画・CROWが最高の形で最終回を迎えた。
エイジの興味はすでに次の作品に向いていたが、目次コメントで作家陣からのお疲れ様コメントをみて、ジャンプで連載している作家たちは仲間なのだとあらためて気づいた。
ジャンプで連載し、色々な人と関わることで人と話すときも漫画を描くことをやめないエイジだったが、きちんと挨拶をするようになり、感謝を伝えられるまでに成長していた。
服部
「面白いマンガ読ませてくれ」
やっとジャンプで初連載が決まった亜城木夢叶。
初投稿からずっと親身に協力してくれた担当・服部から別の担当・港浦に変わってしまった。
2人はこれからも服部とやりたいと思っていたし服部も2人の担当でいたかったが、編集長の決定には逆らえなかった。
今までの感謝を2人は伝え、服部は別れ際にこう言って去っていた。
「僕はマンガ家は編集を超えなくてはならないと言ったな 今がその時かもしれない」
新連載PCPはアンケートでも好調だったが、15話連載してもエイジの作品を追い抜く事ができていなかった。
編集長の出した条件で25話までにエイジの作品より上を行かないと打ち切りになってしまう。連載できる話数が残り少なくなり後がない状況に立たされていた。
しかし秋人は1話完結ではなく5話くらいかけたシリーズものをやって最終話でアンケート上位を狙いたいと提案した。
5話も使って失敗したら策が打てなくなることを心配し、危険すぎると服部は反対したが、2人の熱意に負けて折れた。
そして初投稿から2人を担当し、アドバイスしてきた服部だが最近の2人の熱意と成長ぶりを目の当たりにして、君たちは完全に僕を超えていると認めたのだった。
平丸 一也
「僕を…幸せにしてください」
ずっと憧れだった蒼樹紅へのプロポーズの言葉。
憧れ続けやっと紹介してもらうことができ、2年間お茶のみ友達を続けた。
そして初めての遊園地デートで結婚を申し込んだのだが、5000万円の指輪を失くしてしまってテンパったのと緊張でこうなってしまった。
プロポーズとして普通はあり得ないセリフだけれど平丸らしさが溢れていてほほえましく感じる。
福田真太
「自分の好きな声優に彼氏がいた…そりゃガッカリする人がいるのはわかる ありがたい ファンだ でもよーっだからと言ってその腹いせにある事ない事でたらめをネット上に書き込むようなくだらねーことをしてる奴がいるのが俺には許せねーっ！！」
アニメ化が決まりそのヒロイン声優に亜豆を起用したいが、亜豆と最高が付き合っている事が世間にバレてしまった。
そのことで亜豆への中傷がひどくなり2人のことを知っていた原田がラジオで2人の交際を認め、ネットに中傷を書き込むことを非難した。
一見怖そうな印象があるが福田はいつも誰かが困っているときは率先して手を差し伸べていた。2人にとってはとても心強かったと思う。
まとめ
夢を追いかけるまでの経緯があまりにトントン拍子に進みすぎて、色々でき過ぎていているように感じられるところがある。しかし、現実に存在する少年誌、出版社、担当者をモデルにしていたり、週刊ジャンプのアンケート制度や専属契約、打ち切り制度などが詳しく書かれていて、夢を追う物語なのにリアリティたっぷりで大人でも十分満足させられるような内容のある作品に仕上がっていると思う。また漫画に限らず物語を作ろうとしている人には、詳しく物語を制作する苦悩や過程が描かれているのでとても参考になるのではないだろうか。
