「油返し」とは、兵庫県の伊丹市昆陽に伝わる怪火の妖怪です。
初夏や冬の寒い夜に「昆陽池」の傍にある墓地や堤付近に現れると言われています。
「油返し」の伝承
油返しはパッパッと点滅するように現れると、「アチャ、アチャ」声のような物が聞こえ、どこか忙しない様子で灯る怪火と伝えられています。
「油返し」の物語
昔、「中山寺」というお寺から油を盗んでいた者がいたそうです。油返しはこの盗人の魂が化けたものと言われています。
また、出現場所である昆陽池の南側には「千僧の墓」があり、油返しはこの墓から現れて池の堤を通り、天神川の畔や中山寺に向かうというお話もあります。
「油返し」の正体
正体はお寺から油を盗んだ人の魂が化けたものと言われていますが、他にも千僧にいる狼の灯火説や昆陽池の北堤で暮らしている妖狐の嫁入り説があります。
特徴的には忙しなく灯るせっかちな怪火なので、どうしてそんなに落ち着きがないのか気になる所ではあります。まさか、油を盗んだ人はその油が引火して…は流石に私の考え過ぎですね。