『天使なんかじゃない』は矢沢あい原作の生徒会を舞台にした恋愛漫画です。
1991年9月号から1994年11月号まで、少女漫画雑誌『りぼん』で連載されていて、今も尚たくさんの人に読み継がれている不朽の名作です。
単行本は全8巻、文庫本全6巻、完全版コミックス全4巻、小説化もされ、1994年にOVA化されました。
数多くの名作を生み出した矢沢あいの出世作になるこの作品は、芸能人にも多数のファンがいます。
20年以上経っても、色褪せない人気を誇る『天使なんかじゃない』の名言、名シーンについてご紹介していきたいと思います。
天使なんかじゃないのあらすじ
主人公、冴島翠は創立されたばかりの「聖学園」の第1期副会長。
「エンジェル冴島」の愛称で学園の人気者。捨て猫を助けているところを見て以来、気になっていたリーゼントの須藤晃は生徒会長。
徐々に晃との距離が近くなっていくのを感じていた翠だったが、晃のそばに「ヒロコ」という女性がいることを知ってしまう。
どういう関係なのか気になる翠だが、晃には何も聞けずにいた。
「ヒロコ」は晃の妹で安心していた翠だったが、美術部の顧問の牧先生も同じ名前で、しかも晃が拾った猫を飼っていたことで再び不安が広がる。
一方、同じ生徒会役員の麻宮裕子、通称マミリンは瀧川秀一に片思いをしている。
翠は密かに上手くいくように応援していたが、新入生で瀧川の彼女の原田志乃が入学してくる。
片思いの切なさ、一緒にいれる幸せ、好きだからこそ些細なことで不安になってしまうこと、青春時代の恋愛模様が様々な角度から描かれています。
天使なんかじゃないの名言・名セリフ集
翠の名言
「あんたがあたしを嫌いでも、あたしは好きよ。マミリン!」
新入生歓迎会で生徒会はマミリンが主役の劇をやることになる。
しかし、瀧川の彼女の志乃が入学してきたことを知り、マミリンは本番直前にいなくなってしまう。
女子トイレにいるところを翠がみつけるが、瀧川とのキスシーンもある為、「絶対にやりたくない」と言い、翠に対して、すぐに調子に乗るところが大嫌いと言ってしまいます。
その後に、翠がトイレのドアによじ登って言ったセリフです。この突拍子もない行動により、マミリンも呆気にとられ劇に出ることを決めます。
翠が降りれなくなってしまって晃に受け止めてもらうシーンが可愛らしいですね。
晃の名言
「おまえは…相手の都合なんかかまってらんねぇくらい、伝えたい気持ちねぇのかよ」
イギリス留学のことを黙っていたマミリンとケンカし、何を望んでいるのか全然分からないというタキガワマンに向かって晃が言ったセリフ。
相手を思うほど、自分の気持ちは言えなくなってしまうものなのでしょうね。
マミリンの名言
「あたしは冴島翠みたいになりたい。うれしい時はちゃんと喜んで、 悲しい時はちゃんと泣けるような、そんな あたり前のことが 、みんな意外と出来なかったりするのよ」
生徒会のみんなでカラオケに行こうとしたが、志乃も来ることになり、翠が慌てて断る。
その後、マミリンと一緒に図書館に行った翠は「何かなりたいものある?」と聞いた後に、マミリンが言ったセリフ。
なかなか心を開いてくれないマミリンが翠に対して思ってることを伝える名シーンです。感情を素直に表せる翠も素敵ですが、それを素直に言えるマミリンもとても魅力的ですね。
「失恋ぐらいで歌えなくなるようじゃ…プロのミュージシャンにはなれないと思うけど?」
翠に振られてしまったケンは、その後のライブで「天使のほほ笑み」が歌えなかった。
マミリンは泣いているケンに向かって、このセリフを言います。これ以上の慰めの言葉は他にないのではないでしょうか。
マミリンは慰めてるつもりはないでしょうが、そんなところが彼女の最大の魅力ですね。
「翠…今度こそ幸せになれるよね?」
将志を探しに学校を休学して日本を離れた晃。
元気がない翠を勇気づけるため、翠が失くした天使の羽のネックレスを、マミリンはタキガワマンと文太と一緒に雨の中を探し、体育館倉庫のネットに引っかかっているのを見つけた時に言ったセリフ。
それを見てタキガワマンはマミリンにキスをします。
中学校時代から、5年も片思いをしていたマミリンの恋が実った瞬間でした。
何度も諦めようと思い、苦しい思いもたくさんしてきたマミリン。志乃は可哀想ですが、マミリンの恋が実ったのは、とてもうれしいですね。
「あんたみたいな友達は…もう出来ないかもしれない」
1年生の時からイギリス留学をしたいと思っていたこと、そして留学を辞めることを何も話してくれなかったことにショックを受けていた翠。
1度は留学を辞めると言ったマミリンだが、まだ迷っていると翠に気持ちを打ち明けた時に言ったセリフ。
翠と会うまではずっと1人だったから、イギリスでもどこでも平気だったマミリンですが、翠とずっと一緒にいたいと言って泣き出す感動シーンです。
ケンの名言
「おれは絶対の絶対の絶対に!翠を泣かせたり、不安にさせたりしない!神に誓っておまえ一筋だからな!」
中学時代の男友達、中川ケンは翠のことがずっと好きだったが、翠は全く気づいていなかった。
ある日、文太からケンの気持ちを聞いてしまい動揺する。
気持ちを知られたケンは翠を電話で呼び出し、クリスマスイブの夜にするライブのチケットを渡しながら言ったセリフ。
完全版コミックスでBUMP OF CHICKENの藤原基央さんも後書きでこのセリフについて書かれています。
藤原さんが書いた「神に誓うな己に誓え」、この言葉も名言になっていますが、その後の続きには、ケンのこの場合においては素晴らしく美しいと絶賛しています。
こんな真っ直ぐなセリフを言われて、ときめかない女子はいないのではないでしょうか。
「歌えねぇよ」
ケンと付き合うことにしたが、やっぱり晃のことが好きだと自分の気持ちを確認した翠は、マミリンと一緒にライブ前にケンに別れ話をしにいく。
翠に振られても笑ってまた友達として仲良くすればいいと言うケンだったが、ライブの最後に演奏する曲、「天使のほほ笑み」が歌えなかった。
この歌は翠のことを思いながらケンが作った曲です。…これは、歌えないです。大好きな子に振られた直後に、その子の曲を歌うなんて出来ません。
その後のマミリンの言葉がとても心に染みます。
将志の名言
「ずっと晃のそばにいてやってくれるかい?」
パリに旅立つ前に、突然翠に会いに来た将志が言ったセリフです。
もう日本に戻るつもりがなかった将志は、晃のことが気がかりで最後に帰ってきました。
晃が変わったのは翠がいてくれたからと確信していたのでしょう。
「幸せになりたくて、一生懸命なだけなのにな」
昔、荒れていた晃に言ったセリフです。将志と牧ちゃんの存在が、この時の晃には支えでした。
志乃の名言
「叶わない夢でもいいんです。その夢を励みにしてれば…どんなことでもがんばれる気がするから…」
タキガワマンと別れた後に、志乃が翠に言ったセリフ。
付き合ってる時は、いつも不安でいっぱいだった。好きになりすぎて苦しくて離れた翠は、この言葉で自分がケンの優しさに逃げたことと晃への思いを確認する。