寄生獣は1988年から1995年まで岩明均によって描かれたSF青年漫画です。
連載終了して20余年経ち、アニメ化、実写映画化もされるなど、根強い人気を誇ります。
ここでは、メッセージ性の強いキャラクター達の名言とともに寄生獣の魅力を振り返っていきます。
目次
寄生獣とは
寄生獣は人間の脳に寄生する謎の生物が、ある夜、大量に降り注ぐ場面から始まります。
主人公である高校生・泉新一は、謎の生物からの進行を右手で食い止め、寄生されてしまいます。
右手に寄生した生物を「ミギー」と名付け、新一はミギーとのの共同生活を余儀なくされるのでした。
しかし、不完全な形で寄生した新一達に対し、完全寄生に成功した謎の生物が次々と襲いかかります。
新一の通う学校への襲撃、新一の母の死など、ショッキングな出来事が続く中、次第に新一にも変化が起こります。
人間以上の身体能力を持ち、人間らしい感情を徐々に失っていく新一。その姿に、ガールフレンド・村野里美も戸惑いを隠せません。
しかし新一は、謎の生物が市長を巻き込み、新一の住む街の乗っ取りを計画していることを知るのです。新一は里美達を守る為、謎の生物と最後の闘いを決意します。
知的な寄生生物・田村玲子や、最強寄生生物・後藤など、クセの強い寄生生物から新一は人間社会を守れるのか。
人間と寄生生物、異なる価値観を見事に表現した寄生獣は、「生きるとは何か」という普遍的なテーマを考えさせてくれる唯一無二の名作です。
寄生獣の名言集
泉 新一の名言
「どけよ!人間ども!! 」
道を遮る人ごみに対して新一が言う名言です。
母が寄生生物に殺害された事を田宮玲子に指摘され、怒りに身を任せその場を去る新一。
単なる激昂で発したのではなく、徐々に人間らしさが消えかけている新一を表した名シーンです。
「でもやらなけりゃ………確実なゼロだ!!」
最強の寄生生物・後藤と対峙した際の新一の名言です。
圧倒的な力の差で、ミギーも自身の手からいなくなり、追いつめられる新一。
絶体絶命状態の中で諦める事なく、勝てる算段を考える新一の心の強さが光るシーンです。
「もう死んだんだよ・・死んだイヌはイヌじゃないイヌの形をした肉だ。」
車に轢かれ、命を落とした犬を見て、新一が言った名言です。
胸の一部がミギーと同化したことにより、ミギーのように無機質な発言をし始めます。
新一の感情が寄生生物寄りになってきた事を感じさせる重要なセリフです。
「みんな地球で生まれてきたんだろう? そして何かに寄りそい生きた…… 」
最強の寄生生物・後藤を倒した新一が、これまでの闘いを振り返りながら言う名言です。
ミギーとも別れ、改めて普通の人間となった新一。
寄生生物も地球で生まれた仲間だと感じる新一の心情は、この物語のテーマとリンクする名セリフです。
ミギーの名言
「わからん……尊いのは自分の命だけだ…… わたしはわたしの命以外を大事に考えたことはない 」
ミギーが新一に言った名言です。
寄生生物が人間を捕食していることを知り、新一は寄生生物に対し嫌悪感を示します。
「同種が食われるのがそんなにイヤか?」とミギーに聞かれ、
「人の命は尊いから当然」と言う新一に対し、ミギーはこのセリフを言うのです。
ミギーの生物としての本能が垣間見える印象的なセリフです。
「受験勉強?あれは一種の暗号だろ?わたしがほしいのは生きる上で役立つ知識だ 」
勉強好きなミギーが新一に言う名言です。
常に本を読んでいるミギーに、自分の代わりに大学受験の勉強をして欲しいと頼む新一。
しかしミギーはそれを断り、このセリフを言うのです。
「受験勉強は生きる上で役立たない」と皮肉ともとれるミギーの的を射る言い回しが光ります。
「シンイチ……『悪魔』というのを本で調べたが……いちばんそれに近い生物は やはり人間だと思うぞ…… 」
ミギーが自身の正体を明かそうとする新一に対し言う名言です。
「口を塞ぐ方法はいくつもある」と脅すミギーを新一は「悪魔」と吐き捨てます。
しかし、ミギーはこの名言で新一に反論します。
ミギーの反論に、言い返すことが出来ず、沈黙してしまう新一の心の葛藤が描かれる
きっかけとなる重要なセリフです。
「これが死か・・・」
最強の寄生生物・後藤の圧倒的な力の前に、為す術無く新一と離れ離れになるミギーが言った名言です。
寄生宿主である新一と長時間離れる事はミギーにとって死を意味します。
これまで、無機質で論理的な思考が目立ったミギーが、はじめて生物らしい感覚を表した
名場面です。
「心にヒマ(余裕)がある生物、なんと素晴らしい 」
最終話で、新一の意識にミギーが語りかける名言です。
新一との共同生活の中で、人の心を理解したミギー。
他の生物に興味を示さなかったミギーが、初めて人間を褒めた印象的なシーンです。
田村 玲子 (田宮 良子)の名言
「人間には命令が来てないのか?」
新一と初めて会った田宮 良子が言う名言です。
新一の通う学校の教師となりすました寄生生物・田宮 良子。
新一と対峙した際にこのセリフを田宮 良子は言うのです。
新一はこの言葉の意味をこの時は理解出来ずにいました。
しかし、このセリフは後々、人間の存在意義を問う、重要なメッセージとしての役割を持っています。
「わたしが人間の脳を奪ったとき 1つの『命令』がきたぞ…… “この『種』を食い殺せ”だ! 」
田宮 良子が新一に自身の存在理由を言う名言です。
新一の「人間を捕食せず、協調出来ないか」の問いの返答がこのセリフです。
読者に、謎の寄生生物が完全に人間の敵と認識させた鬼気迫る名シーンです。
「彼はわたしが実験により創りあげたか弱い「仲間」の1人ではあるが・・・無敵だ」
田村玲子が、最強の寄生生物・後藤を称するセリフです。
子孫を残すことが出来ない寄生生物を、「か弱い」と表現するあたりに田村玲子らしさが出ています。
そして、知的で手強い田村玲子を持ってして、無敵と称される後藤の力の強大さが窺えます。
「黙れよ」
田村玲子が泣きわめく自身の子に言うセリフです。
知的好奇心から、人間との間に自身の子を出産した田村玲子。生まれてきたのは普通の赤ちゃんでした。
普通に子育てするのかと思いきや、あやす時にはこのセリフです。
シリアスな展開が多い寄生獣ですが、このシーンはギャグパートとは言わないまでも、地味に笑いが出てきます。
「ずうっと考えていた… 私は何のためにこの世に生まれてきたのかと… 」
「………この前人間のまねをして………鏡の前で大声で笑ってみた……… なかなか気分が良かったぞ………」
知的な寄生生物・田村玲子が命を落とす最後のシーンでの名言です。
田村玲子はミギー同様、人間の心に触れ、最後は人間を理解したのでしょうか。
敵対していた寄生生物ですが、田村玲子の安らかな逝き顔は感動を誘います。
村野 里美の名言
「きみ………泉 新一君………だよね? 」
新一のガールフレンド・里美が新一に言ったセリフです。
ミギーが宿り、少しずつ新一に変化が生じます。
里美は新一の変化に戸惑いを感じつつ、恐る恐る新一にこのセリフを問うのです。
里美の視点を通じて、読者に新一の変化を分かりやすく表現しており、感情移入しやすい名シーンです。
広川の名言
「人間に寄生し生物全体のバランスを保つ役割を担う我々から比べれば 人間どもこそ地球を蝕む寄生虫!! いや……寄生獣か! 」
市長・広川の演説における名言です。
人間である広川は、地球の生態バランスを脅かす人間の存在を危惧しています。タイトルである寄生獣が実は人間の事を指しているという、本作品のテーマの一つが表された名シーンです。
後藤の名言
「もっと工夫しろ………… 人間は地球上でもっとも賢い動物のはずだろ」
最強の寄生生物・後藤が新一に言った名言です。
並はずれた力で新一を圧倒する後藤は、更に新一の力を引き出そうとします。
戦いに喜びを見出す後藤らしさが表れたセルフです。
本能で人間を捕食する寄生生物とは異なる、後藤の恐ろしさを感じさせます。
宇田 守
「こ・・こいつは・・もちろんきみのおかあさんなんかじゃない ・・でもやっぱりきみがやっちゃ・・いけない気がする」
新一と同じく、脳まで寄生されるのを免れた宇田 守が新一に言う名言です。
新一の母を殺害し、その体を乗っ取った寄生生物と対峙する新一と宇田。
母の仇を取る為に、母の体に傷をつけようとする新一に代わり、宇田はこの寄生生物を倒します。
宇田の人間らしさが滲み出た名シーンです。
泉 一之
「ひょっとしておまえ・・・・・・・・・・鉄でできてるんじゃないのか・・・・・ 」
新一に対し、父・一之が言うセリフです。
一之は妻を寄生生物に殺害され焦燥しきっています。
母を失っても普段通りの態度をとる新一に一之はこのセリフを言ってしまうのです。
これまで、新一の理解者として支えてきた一之。
しかし、妻を失い、さすがに父である前に一人の人間として、耐えきれない悲しみが溢れ出てしまうのです。
これまで、陽気な人柄で描かれていた一之だけ、この対比がより切なさを感じさせます。
美津代の名言
「たとえ見ず知らずの相手でも1度かかわりをもっちまえば ほうってはおけない…それが人間てもんなんだ」
1度大敗した後藤に再び挑みに行く新一に美津代が言った名言です。
後藤にやられ満身創痍の新一を匿ってくれたのが美津代でした。
寄生獣という物語における、人間の心を代弁した重要なセリフです。
まとめ
大きなテーマを背景に、1度聞いたら忘れられない名言が多数登場する寄生獣。
緻密なプロットで、無駄の無い展開は読み始めると、引き込まれること間違いなしです。
ふと時間が出来た時に手に取って見るのは如何でしょうか。