「河童」とは、「河太郎」とも呼ばれ、その知名度は鬼や天狗と同じくらい高い妖怪です。
頭に皿があり、清らかな水が溜まっているとされています。
「河童」の伝承
河童は「童」の字の通り、子供のような大きさでシャンプーハットのような髪型、肌の色は赤〜緑色、背中には亀の甲羅がある姿が有名です。
他にもカワウソのような姿や猿に似た姿で描かれる事もあります。
イタズラ好きな性格ですが土木作業を手伝ったり相撲を取ったりと無害な一面が知られていますが、中には「尻子玉」を抜いてしまう、人間の内臓を好むといった恐ろしい一面も兼ね備えています。
また、秋が深まると河童は川から上がって山に籠るという話もあり、その場合は「ヤマワロ」と呼びます。
「河童」の物語
河童には非常に多くの物語がありますが、ここではマイナーな物語をご紹介させていただきます。
これは私が幼い頃に聞いた昔話です。私の住んでいた地域の川には昔、河童が住んでおり、性格が悪辣で川や海に潜った漁師達の尻子玉を抜いて殺していたそうです。
「このままでは漁ができない」と困ったある漁師は、ふんどしの中に石を詰めて潜り漁をしました。
すると案の定河童が来て、いつも通り尻子玉を抜こうとしましたがふんどしの下には石があるので抜く事ができず、「なんて硬い尻なんだ」と驚いたそうです。
漁を終えた漁師は、その河童に持参していた酒を飲ませて酔わせると、高揚した河童はあらゆる質問に答えました。
そして食べ物の話になると「別に嫌いな物は無いけど“黄身粥”だけは食べれない」と返答したそうです。それを聞いた漁師は奥様に大量の黄身粥を作らせ、酔ってまともな判断ができなくなった河童に振る舞いました。
「食べれない」と言った黄身粥を平らげた河童はお腹を擦りながら「眠い、眠い」と言いながら川に戻って行ったそうです。
翌日、漁師達は漁のために川に出ると奇妙な物を見つけます。それは昨日黄身粥を食べた河童であり、食べれない物を食べてしまったため、川の中で死んでしまったのでした。
それ以降、漁師達は川でも海でも安心して漁ができるようになった、というお話です。
「河童」の正体
二面性のある河童ですが、その正体は水神の一種、あるいは水神が妖怪となったものと言われています。
これには河童の大好物とされる「キュウリ」も深く関わっており、初なりの野菜は水神への供物として欠かせなかったためです。
さらに相撲好きな理由も水神信仰に関わりがあり、相撲自体が水神へ捧げられる神事だったからという説もあります。
かなりマイナーではありますが、私が幼い頃に聞いた河童については卵アレルギーだったのではないかと今では考えています。
アレルギーは非常に危険なので「嫌い」ではなく「食べれない」と答えたのかと思うと複雑な気分です。