「足洗邸」とは、現在の東京都墨田区に伝わる「本所七不思議」という怪談の一つに語られている妖怪です。
剛毛が生えた巨大な足が天井を突き破って現れ「足を洗え」と言ってくるそうです。
「足洗邸」の伝承
江戸時代の本所三笠町に住んでいた旗本・味野の一族の上屋敷で起きた怪異です。
屋敷では毎晩天井裏から物凄い音が響くだけでなく、剛毛が生えた巨大な足が「足を洗え」と天井を突き破って現れていました。
家人が言われた通り足を洗うと天井裏に消えていきますが、洗わないでいると足の主は怒り、天井を踏み抜いて暴れたと伝えられています。
「足洗邸」の物語
このように毎晩天井裏から現れて足を洗わせていた謎の足ですが、流石に住人達も堪りかねてしまいました。そこで味野は同僚の旗本に相談する事にしました。
すると同僚はこの怪異にとても興味を持ち、上司の許しを得て上屋敷を交換する事になりました。この怪異にワクワクしながら同僚は移り住みましたが、何故かその足は二度と現れる事はなかったと伝えられています。
「足洗邸」の正体
謎の巨大な足が現れる足洗邸ですが、「足」という以外の正体がありません。
もし、妖怪以外の正体があるとしたら、味野の一族を足蹴にできるイジメっ子的な輩が毎晩屋敷に押し掛けていたのではないでしょうか?
そして、これに困り果てて同僚に相談した結果、屋敷が交換されたため屋敷に押し掛けられなくなってしまい、その後姿を見せなくなったのだと思います。
今も昔も変わらず、仕事でもプライベートでも本当に仲の良い同僚に相談するのは新たな突破口になるのかも知れません。