「イジコ」とは、青森県の津軽地方に多く伝わる妖怪です。
元々イジコとは赤ちゃんを入れるための藁製のカゴの事を指すのですが、イジコは真っ赤に燃え上がった姿で現れるとされています。
「イジコ」の伝承
イジコはヒノキやイチョウ等の木々が必ずある場所に現れるとされています。ある伝承では、青森市のある中学校の傍に生えているアカシアの木の近くを小雨が降っている夜に通りがかると現れたと伝えられています。
その際イジコは鬼火のような姿でアカシアの木にぶら下がっており、男性の呻き声を発していたそうです。
「イジコ」の物語
南津軽郡の藤崎町には、このような話も伝わっています。
昔、とある家の主人が自宅の庭にたくさんのヒノキを植えました。
しかし、その主人が病気になると、庭の木々が音を立てて揺れたり、庭石からは謎の唸り声がするようになりました。さらには夜中になると主人が植えたヒノキからイジコがぶら下がり、中で赤ちゃんが泣いていたそうです。
その様子を見た人が赤ちゃんを助けようと思い、木に登ってイジコに手をかけました。するとイジコの中の赤ちゃんは助けに来た人に笑いかけると、おぞましい妖怪の姿になってその人の顔を長く赤い舌で舐め回したと語られています。
「イジコ」の正体
不気味なカゴの妖怪・イジコですが、必ず木のある場所でなければ現れないため、木に関係した妖怪とされています。
私の個人的な考察ですが、イジコは木の根元に埋められたり木と一緒に焼かれたりして亡くなった赤ちゃんの霊ではないかと考えています。
以前ご紹介した「赤手児」も木に歪な赤ちゃんの腕のような物がぶら下がるという妖怪でしたが、イジコにも近い物を感じます。燃える姿で現れるのは、炎のような怨みがあるからなのかも知れません。