「アリエ」とは、明治時代前期に現れたとされる海に住まう妖怪です。
吉凶を見抜く力を持っていると言われており、人々に予言を残したと言われています。
「アリエ」の伝承
たくさんの指が生えた四肢とウロコに覆われた体と長い首、尾を持ち、頭部は鳥に似ていて長い髪にも見えるタテガミを生やしています。
吉凶を見通す未来予知のような力を持ち、海に住まう鱗獣の頭領でもあるアリエは夜姿を現す際に体のウロコを光らせたと伝えられています。
「アリエ」の物語
昔、熊本県の青鳥郡の海に妖怪が現れるようになったそうです。その妖怪は四肢を持ち、夜になると全身のウロコを光輝かせながら歩き回り、近くを通る人々に声をかけて呼び止めていましたが人々はその姿や様子すっかり怯えてしまい、その道に近付かなくなってしまいました。
そんな中、妖怪の噂を聞いた「柴田某」という士族が妖怪の正体を突き止めようと青鳥郡の海に向かいます。そして噂通り現れた妖怪に遭遇し、話かけました。すると妖怪はこのように答えたと言います。
「私の名前はアリエ。海に住まう鱗獣の頭領です。」「私の話をよく聞いてください。今から6年間は豊作が続きますが、6月からコロリに似た病が流行り、人々の6割が死に絶えてしまうでしょう。ですが、私の姿を書いた物を置いて朝夕に祈ればこの災厄を逃れる事ができます。」
アリエは予言を託すとそのまま海に姿を消してしまいました。これを聞いた柴田はアリエの絵を絵描き、その予言を広めて実行に移したため災厄を逃れる事ができたと伝えられています。また、稼業をなげうってまでアリエの絵に祈りを捧げる人も出たという噂も出たそうです。
「アリエ」の正体
アリエは海に住まう鱗獣の頭領であるという事が分かっています。アマビコやアマビエのように人間に対して友好的な態度を取ってくれる妖怪です。
恐らくは古い海神の1柱だと思われ、「頭領」という事もあり、その中でもかなり上位の存在だと思います。流行り病の被害を未然に防ぐために姿を現してくれたアリエはまさに信仰を集めるに相応しい存在です。