「遊火」とは、四国地方の高知県高知市や三谷山に伝わる鬼火の1種です。
地上から少し高い位置を浮遊し、海上や城下町に現れ、その色は青白い色をしていると言われています。
「遊火」の伝承
この妖怪は鬼火の中でも丸っこい形をしているようで、遠くから見ると毬のように見えると伝えられています。
また、1つの塊にまとまってみたり、複数の鬼火に分裂する事もあるそうです。
さらに、ついさっきまで目の前をフヨフヨ漂っていると思ったら次の瞬間には遠い場所に瞬間移動する事があるとも言われています。
「遊火」の物語
遊火の詳しい物語はあまり伝わっていないのですが、鬼火の仲間でありながら人間には無害な妖怪であると言われています。
以前ご紹介した「悪路神の火」は、触れてしまった者を問答無用で熱病や疫病にかけるという恐ろしい鬼火でしたが、遊火は宙に戯れるように現れるだけで驚かせる、不思議がらせる以外の危害は加えないとされており、遊火を見たり触れたりして大変な目に遭ったという話は伝わっていません。
「遊火」の正体
フワフワ漂う遊火の正体ですが、霊的な物でないのなら私は「ホタルの群れ」ではないかと思っています。
ホタルの光は青白くはありませんが、群れで1ヶ所に固まっているとかなり眩しい光の玉のように見えます。
また、遊火が複数に分裂する特徴からもホタルが散り散りに飛び去っていく様子が何となく想像できます。
仮に霊的な存在だったとしたら、誰も傷つけない優しい心を持った子供の魂が、夜道を無邪気に遊んでいただけだったとも考えられそうです。