「赤入道」とは、「ばけもの絵巻」や「百鬼夜行絵巻」に描かれている妖怪です。
白い布をまとい、人間に似た姿であるが全身真っ赤であるとされています。
「赤入道」の伝承
昔、近江国(現在の滋賀県)のある所に寺があり、その敷地の藪の中から赤入道が現れて通りかかった人を驚かすという伝承があります。
また、山名宗全という室町時代の武将が、その気性の荒らさから周りの武将達に「赤入道」と呼ばれた事もあったと伝えられています。
「赤入道」の物語
その昔、「近江国の武佐という所にある寺の藪から赤入道が出る」という噂が流れていました。時々この寺の留守番をしていた男は「そんな化け物はいない。」と人々にキッパリと言い切っていました。
人気のない夜の事、男が寺のコタツにあたって暖を取っていると、何者かの声が聞こえてきました。「お前は赤入道なんかいないと思っているだろう。今、その目でしかと教えてやろう。」
するとコタツの中から赤入道が躍り出て、恐れおののく男を指先で押さえつけたという話が伝えられています。
「赤入道」の正体
赤入道の物語から「突然赤入道が現れる事もあるのだから、あまり物事に反抗してはいけない。」という教訓的な話もあります。
そのため、赤入道の話は何事にも自分の考えを曲げず、反抗的な態度を取る人を戒めるための話なのではと思います。コタツから現れた赤入道は体を赤く染めた体格の良い男性、謎の声の正体はお寺の住職ではと思います。
留守番をする男を驚かす、あるいは懲らしめるために計画を立て、実行に移したのではないでしょうか。