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徳島県の妖怪【赤殿中】伝承や物語・正体を考察!

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「赤殿中」とは、四国地方の徳島県に伝わるタヌキの妖怪です。

1人で夜道を歩いていると赤色の殿中(袖のない半纏、ちゃんちゃんこ)を羽織った子供の姿に化けて現れるとされています。

「赤殿中」の伝承

赤殿中は四国地方・徳島県鳴門市大麻町大谷に伝わるタヌキあるいは子ダヌキの妖怪で、人間の子供に化ける事ができます。

その姿は、名前の通り赤い袖無しの半纏を羽織っているとされています。

夜道を1人で歩いていると赤い袖無しの半纏を羽織った幼い子供の姿で現れ「背中におぶってちょうだい」とお願いしてくると伝えられています。

四国地方には多くの化けタヌキの伝承がありますが、赤殿中は無害そのものであり、背中におぶられて無邪気に喜ぶ様子から地元の人々に愛されていたそうです。

また、子供の姿に化けて人間に近付いて来るのは「自分も人間の子供のように可愛がられたい」「可愛がられている子供が羨ましい」と思っているからとされています。タヌキの姿で現れてお願いしても、誰も相手にしてくれないと理解しているため子供の姿をとるのだそうです。

「赤殿中」の物語

昔、村人が人も出歩かない夜遅くに1人で出歩いていると、赤殿中を着た幼い子供が現れ「背中におぶってちょうだい」と御願いをしてきました。お願いは意外としつこく、仕方がないのでその子供をおぶってあげるとキャッキャと楽しそうな声を上げ、手足をパタパタさせて喜びました。

また、おぶってあげたその子供は、子ダヌキの姿を現す事もありました。背中の上で無邪気に喜びながら、背負ってくれた人の肩をポンポンと叩いてくれたそうです。その愛らしさから、わざと「騙されたフリ」をして背中におぶってあげる人もいたのだと伝えられています。

「赤殿中」の正体

赤殿中の正体は可愛がられている人の子供を羨ましがった「化けタヌキ」とされています。伝承によると2頭身くらいの子ダヌキだそうです。

もし、霊的な存在である「化けタヌキ」が正体でなかったとしたら、私は赤殿中の正体を「何らかの理由で親に愛されなかった子供」だと思います。

何せ昔の話です。不作の際に口減らしのため子供を山に捨てたり、両親が流行り病で亡くなった事で孤独な生活を強いられた子供がいてもおかしくはないでしょう。また、タヌキは食用にされた事もあるため、その毛皮を入手していても不思議ではないと思います。

親に可愛がられていた事を思い出し、再びそのぬくもりに触れたいと思えば人前に出てお願いもしたくなります。だから人前に出る時は防寒のための毛皮ではなく殿中を羽織って現れるのではないでしょうか。また、相手が複数人では追い返されるかも知れませんし、明るいと道が分かりやすいのですぐ逃げられてしまうかも知れません。それを防ぐために敢えて「夜道を1人で歩く人」を狙ったのではないかと思います。

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