「赤シャグマ」とは赤シャグマは四国地方に広く伝わる妖怪の一種です。
その見た目は、小さな子供のような姿で赤い髪を生やしている、もしくは髪も身体も赤いとされています。
「赤シャグマ」の伝承
民家に住み着くという特徴から「座敷わらし」の仲間と考えられており、赤シャグマが居着いた家は栄え、出ていかれた家は衰退してしまうと伝えられています。
また、赤シャグマの伝承は数多く残っており、その地域によっては人間に対する行動に違いがあります。しかし、いくつか共通している部分もあり、人がいない時や人が寝静まった時間帯に床下や仏壇の下から現れて悪戯をするとされています。
悪戯の主な内容は、寝ている住人を「へとへとになるまでくすぐり続ける」という場合が殆どです。中には囲炉裏を囲んで暖をとったり、勝手に食べ物を食べたりする赤シャグマも伝わっています。
「赤シャグマ」の物語
昔、とある村で若者が雇われました。仕事で雇われたはずなのに、ずっと遊ばせられている状況を若者はいつしか不審がるようになりました。
そんなある日、村人が亡くなりました。雇い主は墓を暴くと、その屍を若者に運ばせて山に入りました。そして雇い主は山に住む赤シャグマを屍を餌におびき寄せてそのまま射止めた、という物語が香川県の仲多度郡満濃町に残っています。
「赤シャグマ」の正体についての考察
赤シャグマの正体ですが、私は「赤熊(シャグマ)」を被った身寄りのない子供達」ではないかと思っています。
シャグマについて辞書をひくと、ヤクの尻尾の毛を束ねて赤く染めた物の事を指しています。兜の飾りや被り物として使われていたようです。
更に興味深い事に、戊辰戦争の際に新政府軍は、このヤクの毛の染物をそれぞれの藩で分け、赤く染まった物が四国の土佐藩(現在の高知県)に渡っています。
このシャグマを身寄りのない子供達が被り、食べ物や暖に困らない民家の床下にこっそりと隠れて暮らしていたのではないでしょうか。
大事にしてくれる住人には恩返ししようと働き、酷い扱いをする住人には退去と同時に仕返しをしたのなら「座敷わらし」の仲間とされてもおかしくないと思う今日この頃です。